宙守工房記録部

訪問した科学館、理系ホイホイ施設の記録です。

名古屋市科学館 @愛知

名古屋駅から徒歩20分ほどの、公園内にある科学館。隣には美術館もある。
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地下二階から地上七階まである巨大な科学館。生命館理工館天文館に区切られ、物理学、生物学、地学、科学、人体など幅広い分野を取り揃えている。
開館から閉館までいたが見回り切ることができなかった。


まずはみんな大好き周期表ロッカー!
HからOgまでの元素がズラーっと並んでいる。ぜひとも推しの元素に荷物を預けたいところ!今回私はBhに入れました。
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ちなみに後述するミュージアムショップに周期表ロッカーグッズがあります。

以下、西屋は物理学専攻であり、科学の中で特に宇宙への興味が非常に深いため、そちらから記録していく。

- 天文館

プラネタリウムの「Brother Earth」「宇宙のすがた」のエリアがある。

なんといってもまずは世界最大級の35メートル光学式プラネタリウム
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背もたれが倒れ、左右に回転する椅子が備え付けられている同心円状ドームで360°星空を楽しむことができる。
上映前に東西南北の方向が示されているため方角を見失うことがない。町の明るさ、薄暮時、深夜など周りの状況も反映させるのが印象的である。

今回鑑賞したのは『陽はまた欠ける』というプログラム。
冬の大三角、日食、月食の解説を学芸員の方がしてくださった。その中でキリスト教と星についての面白い解説があったのでかいつまんで紹介する。

冬の星空には冬の大三角がみられるが、陽が落ちて早い時間だと夏の大三角の姿も見ることができるだろう。
この時、西に沈みかけている夏の大三角の中にある十字型の白鳥座は、頭を下に向け地へと墜落していくように見えるのである。
その姿が、白鳥座が「北十字」とも呼ばれるように、ゴルゴタの丘に立てられた十字架のように見えるからクリスマスにはいい話じゃない?と解説員の方はおっしゃっていた。

キリスト誕生の話の中で、3人の博士が空に一際明るく輝く星を見つけそれを目印にベツレヘムの厩に向かうとある。
ここで着目すべき点は「博士」と「一際明るく」輝く星である。何の博士なのかはわからないが、その時代の博士は天文に長けていただろう。
この星が超新星爆発であったという説もあるが、学芸員の方はそれは金星であったのではないかと話していた。

話は変わって星と等級、月食日食のお話。1等級変わると2.5倍変わる。
光学望遠鏡を用いて日食の様子をドームを生かしてシュミレーション的に示し、時折平面図で解説をする、とても視覚的に分かりやすい説明であった。
次の日食は2019年12月26日、皆既日食スリランカとのことだ。(名古屋市科学館に訪れたのがクリスマス前だった)

一度、非常灯も解説も星図も街の明かりもない星だけが輝く世界になった。それはとても美しく、宇宙空間を漂うような、宇宙と一体化しているような、でもずっと見ていると引き込まれて怖いような、とても幻想的な世界を見せていただいた。あまりの美しさに心を打たれ涙を流した。
とても濃密で夢のような50分間だった。

毎月プログラムが変わり、さらには夜間投影もあるようなのでまた行きたい。


また、プラネタリウムがあるフロアには「最先端科学との出会い」のフロアもある。
宇宙ステーション、二酸化炭素が地質の違いによって地層の間に溜まっていくことを模式的に表した展示、深海探査、ボーリング調査、地震、地殻、鉱石、隕石、プルームなどの展示があった。
ボーリングで採取された岩石、地層が回転寿司のようにまわり、それを触って引き寄せて解説を見る展示が非常におもしろかった。

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そして、世界のロケット好きには垂涎もののこの展示!!なんと、ウクライナが別に書いてあります。すごいですね。
現地の言葉で国名が書いてあるのが非常にポイント高い。壁一面の展示なので実物を見に行ってほしい。
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次に「宇宙のすがた」という展示室。

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ここでは宇宙研究について、プラネタリウム機器についての展示がある。ここに2時間はいた。
縮尺されているが(当たり前だが)地球からの天体、恒星、探査機の距離を対数距離で示す円形の台にニュートリノや宇宙図鑑に書いてあるような説明が円形の板にそれぞれ びっしりと書かれている。
中にはタッチパネル式になっており、惑星の衛星、裏側を余すところなく見ることができるものもある。
また地動説、江戸時代の天文学ガリレオの時代の天文学、中国の天文学など世界の天文学の歴史。電波天文学、星の距離感、望遠鏡の仕組みや、なんと霧箱まで!!!思い出せないほど、言葉で書ききれないほど膨大な展示であった。ここは多分図鑑の中なんだと思う。
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書ききれないので写真で…


中でも印象的だったのは、なんとコスモアイル羽咋で使われていたというデジタル式プラネタリウム機器。愛知でコスモアイル羽咋と感動の再会を果たした。
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- 理工館

「不思議のひろば」「技術のひろがり」「科学原理とのふれあい」「物質・エネルギーのせかい」にわかれている。

物理学系の現象を体験しながら学ぶことができるエリアでは所狭しと並ぶ、物理でみる実験装置…!力学、電磁気学、波、音、磁性体等余すところなく展示をされている。

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中でも感動したのが方程式ごとに分かれた小区画の中にそれに関連する実験が体験できるというもの!!ああ。マクスウェル方程式美しい。


また、化学エリアでは分子モデルがずらりと並び、実物が入っている周期表もある。
身近な物質の構成元素、化学特性、匂いの仕組みについても学ぶことができる。

水のひろばでは、ポテンシャルエネルギーを活用した水車の展示、ストロボ効果やプリズム、空気抵抗の展示がある。
竜巻を館内で起こす実験は壮観であった。

不思議のエリアには音の反射、凹面鏡の焦点距離、鏡、骨に反射して聴こえる音など、身近であるが不思議なものを取り扱っている。体験できるものが多いため、子供の姿が一番多いエリアだった。

技術系には滑車、自動販売機の仕組み、時計の仕組み、電車やディーゼル、なんと運転シュミレーターまであった。放電エリアは上から観察することができる。

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- 生命館

「生命のひみつ」「人体のふしぎ」「生活のわざ」「地球のすがた」エリアがある。

人体パズルや脳やら人体に関連する展示。あまり詳しくないのと時間がないため足早に見てしまった。
自分の心音を読み取り鼓動をうつ機械があったが、冬コートを着ていた上から測ったため私の心音は止まっていた。悲しい。

生命エリアには、西屋大好き生物オールスターズの姿が。アカハライモリプラナリアアルテミア、真性粘菌大好きです。

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そしてこちらはDNAの模型、模型と言っても理科室にある縦のATCGの配列模型とは桁の違う大きさ。mRNAと二重螺旋ができるまでとDNA、染色体、ヌクレーソーム構造までつなげて展示してある。
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次にこちらは10万倍の植物細胞と動物細胞。大きさ比較の為に手を写しています。
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名古屋市の地域性に基づく解説も多い。生態系、二重窓や電車の騒音、地下鉄、圧力、名古屋はなぜ暑いのかという疑問に答える展示。触って体感できるのいいな。

- その他施設

科学館から出たところにあるミュージアムショップには名古屋市科学館オリジナルグッズがある。どれも科学マニア心をくすぐられるものなので覚悟していった方がいい。迷わず周期表ロッカークリアファイルを手に取りました。

情報資料室には大学にあるような科学の本はもちろん、子供向けの本も充実している。良い。


名古屋市科学館は、見て、触って、体感して科学をより身近に、直感的に分かることのできる科学館であると思う。
体験型の展示には解説があまり多くない。「なんで?」「どうして?」という疑問を生む科学館。HPに解説があるので、じっくり考えてから答えを楽しめる。
あまりにも広いため、熟読しながら一日で周りきるのは困難。サイエンスステージ、ラボなど周りきれなかったが興味をそそられるものが多いため、今度行く機会があったら3日は通おうと思う。



★基本情報(2019/12)

入館料:閲覧→展示のみ 大人400円、高大生200円
      展示+プラネタリウム 大人800円 高大生500円

フロア: B2、1F~6F。7Fはイベント時のみ。外にレストランとミュージアムショップ

設備:トイレ、コインロッカー大小(100円返却式)、無料Wi-fi、休憩室(飲み物、アイスの自販機有)、ミュージアムショップ(外、宇宙メイン、クレジットOK)、レストラン(外)、

アクセス:JR名古屋駅から徒歩20分

HP:
www.ncsm.city.nagoya.jp